世界中からパトロンが集まるマスターズ。しかも今年はタイガー・ウッズの影響もあり入場チケットが高騰。一部のダフ屋では1日券が2,800ドル(約30万円)で販売されていたという話も聞いた。他のメジャーでは数万円でチケットの購入は可能なのに、マスターズはなぜこれほど特別なのか?
目次
●他のゴルフ場にない、緑の鮮やかさ!!グリーンアンジュレーションの凄さに驚く
●数万人のパトロンがいても、観戦しやすい!
●ドライビングレンジにもスタンドがあり、じっくりと見ることができる
●マスターズではオフィシャルショップで購入したイスを使用すれば席取りOK!
●サンドイッチは1.5ドル、ビールは4ドルなど飲食物はリーズナブル!オーガスタで飲むビールは最高!!
●トイレは瀟洒な建物の中にあり、スタッフが常に清掃を実施。洗面所は女性に嬉しい鏡付き
●他のトーナメントと大きくことなる2つのこと。携帯禁止と取材陣のコース内立ち入り禁止について
●パトロンのマナーも世界最高峰!!
他のゴルフ場にない、緑の鮮やかさ!!グリーンアンジュレーションの凄さに驚く
世界中の数百のゴルフ場に行っているが、これほどグリーンが美しいゴルフ場はないであろう。晴れて青空になると、空の青と芝のグリーンとのコントラストがなんとも言えない美しさを生み出す。
さらに芝と林の茶色い部分の境目がはっきりしていることが、より緑の鮮やかさを演出しているような気がする。また、景観を損なわないようにゴミ袋も緑色だ。




数万人のパトロンがいても、観戦しやすい!
1日3万人から5万人が入場すると言われるオーガスタナショナルゴルフクラブ。パトロンが多すぎてプレーが見づらいのではと思われそうだが、他のトーナメントと比べてとても観戦しやすい。
適度なアップダウンをパトロンの観戦のためにも上手く利用していてローピングを比較的低い位置に設置。ロープから離れた高いエリアからも観戦がしやすくなっている。
また、グリーンの周りは高くなっている箇所が多いので、前に人が立っていても視界を確保しやすい。
なお、同じメジャーの全英オープンに行った際、大勢のギャラリーが集まっている影響でいくつかのホールでほとんど見えないという経験をしたことがあるが、オーガスタナショナルゴルフクラブでは人気の組についてもこのような経験は比較的少ないと思う。
また、余談だが日本の古いゴルフ場は砲台グリーンが多い。グリーン面が見えない場合も多く、観戦に適していないところが少なくない。








ドライビングレンジにもスタンドがあり、じっくりと見ることができる
オーガスタナショナルゴルフクラブのドライビングレンジのスタンドも非常に快適。お気に入りの選手のスイングや練習方法をじっくり見るのに超おすすめだ。
また、ドライビングレンジの横にはキッズエリアがあり、集まっている子供たちに選手がサインを行っていた。



マスターズではオフィシャルショップで購入したイスを使用すれば席取りOK!
通常のトーナメントでは席取りは厳禁だが、マスターズではオフィシャルショップで購入した折りたたみ式の緑の椅子を使用すれば、シッティングエリアという場所で席取りができる。
もちろんそのシッティングエリアで一日観戦をしても良いが、例えば朝一番で18番ホールや16番ホールなど人気エリアを確保し、午前中は好きな選手について観戦。午後から朝確保した席でゆっくりと座って観戦するというような楽しみ方もできる。
良い場所の席取りをするため、毎年多くのパトロンが入場開始の数時間前から並び、ゲートオープン直後に急いで場所を確保している。なお、コース内を走ることはNG。実は僕もマスターズで会場内を走ってしまい注意されたことがある。



サンドイッチは1.5ドル、ビールは4ドルなど飲食物はリーズナブル!オーガスタで飲むビールは最高!!
マスターズの会場内で販売されている飲食物は意外にも非常に安い。サンドイッチは1.5ドルからあり、ビールも4ドルで販売されていた。なお、味は米国で売っている一般的なサンドイッチと同じ感じ。味覚は人それぞれだと思うが、正直あまり美味しいものではない。
なお、包装やビールの使い捨てカップなどはすべてマスターズのロゴ入り。飲み物のカップやデザインがマスターズ仕様のお菓子をお土産に買っていくパトロンも多いようだ。






トイレは瀟洒な建物の中にあり、スタッフが常に清掃を実施。洗面所は女性に嬉しい鏡付き
パトロンに対するホスピタリティが素晴らしいのもマスターズの魅力だが、中でも秀逸なのがトイレだ。
簡易トイレではなく、どこのトイレも瀟洒な建物の中にあり、もちろん男性用と女性用に分かれている。さらにスタッフが4〜5人くらいいて、誘導をしてくれるだけでなく、なんと個室では使用される度に清掃を行っていた。さらに、洗面所では手洗い用の液体石鹸やペーパータオルがあるだけでなく、鏡もついている。
また気になる混み具合だが、キャパシティが大きいためあまり待つことはない。2年前の2017年大会の最終日、ガルシアの優勝争いについて12番ホールを移動中に利用した時はさすがに入り口は大混雑で長蛇の列ができていたが、スタッフが的確に誘導してくれたので10分くらいで用を足せた。
また、屋外のスポーツイベントでは男性よりも女性トイレが大混雑していることが多いが、女性用もしっかりと収容力が確保されているのかそのようなシーンは見られなかった。
トイレ環境が苦手なのでゴルフトーナメント観戦はNGという話をたまに聞くが、そんな方でもマスターズ観戦なら問題はなさそうだ。



他のトーナメントと大きくことなる2つのこと。携帯禁止と取材陣のコース内立ち入り禁止について
海外のゴルフトーナメント中継を見ているとギャラリーがスマホで自由に撮影しているが、マスターズでスマホを手にしているパトロンは皆無。使用だけでなく、会場内への持ち込みが完全に禁止されているからだ。見つかると即退場となってしまうこともあり、会場内で携帯電話を持っているパトロンを見たことがない。
2017年のマスターズにおいてスポーツナビのコラムにも書かせていただいたが(セルヒオ・ガルシアの感動勝利を演出夢舞台を作る“パトロン”という人々/スポーツナビ)、この時代錯誤ととられかねないルールは、携帯電話の操作に気を取られないため選手とパトロンの濃密な時間を生み出しており、マスターズならではの盛り上がり感をつくり上げる要因になっている。
なお、携帯を持ち込むことができないのでコース内に設置されている公衆電話は大人気だ。

また、マスターズ以外のゴルフトーナメント中継を見ていると、ロープ内を歩いているカメラマンや記者が映ることが多いが、マスターズではほとんど映らない。原則カメラマンや記者がコース内に入ることが禁止されているからだ。
テレビカメラも高い位置に設置しさらに緑のカバーで覆っているので、マスターズの景色に溶け込んでいるのだ。選手、パトロン、コース以外の余計なものを極力パトロンの視界やテレビ映像から排除することで、マスターズならではの美しい夢舞台を演出している。

パトロンのマナーも世界最高峰!!
マスターズの魅力として最後に書かせていただくのはパトロンのマナーの良さだ。今年は写真撮影ができる練習日だったのでカメラを持って行動していたが、「写真を撮りましょうか?」と言ってくれる方が続出。観戦をしていても混み合ってくると、スペースは詰めてなるべく多くの人々が快適に見られるように譲り合っていた。
海外では日本ではあまり経験しないマナーの悪さに辟易することが少なくないが、オーガスタナショナルゴルフクラブは海外にいながら別世界。こういったパトロンの姿勢も、世界最高峰と言われる舞台を作り上げている要因なのかもしれない。