テレビでは分からないオーガスタナショナルゴルフクラブ。アップダウン、グリーンの傾斜、ティーグラウンドで感じる樹木の圧迫感など

テレビでは分からないオーガスタナショナルゴルフクラブ。アップダウン、グリーンの傾斜、ティーグラウンドで感じる樹木の圧迫感など

オーガスタナショナルゴルフクラブに初めて行くと、多くの方々が同じ感想を持つ。テレビでみるよりもアップダウンがあり、クリーンの傾斜が大きく、さらには樹木の存在感があること。2019年のマスターズの練習日に現地で撮影した写真で解説する。

アップダウンがあり、フェアウェイはアンジュレーションも大きい

写真は10番ホールのグリーン奥から撮影したもの。ものすごい打ち下ろしホールだということがわかる。このように高低差が大きいホールが多いのがオーガスタナショナルゴルフクラブの特徴。
フェアウェイもアンジュレーションが大きく、フラットなライから打てることはほとんどない。

そんな厳しい状況でも、狙い通りの正確なショットを打つ選手たち。現地に行くとマスターズに招待されている選手たちの技術力の高さを実感できる。

10番ホールのグリーン奥から撮影
10番ホールのグリーン奥から撮影

深いラフはなくても、起伏のあるグリーン周りが難しい

深いラフがないオーガスタナショナルゴルフクラブ。テレビで見ているとグリーン周りも難しさが実感しづらいかもしれない。

グリーン周りの難しさは、大きな起伏にある。プレーヤー目線よりも上方に設置されているカメラで撮影されているため、映像ではアンジュレーションの大きさが分かりづらくなっているのだ。

写真は17番ホールのグリーン奥からのもの。昨年(2019年)の第3ラウンドで、リッキー・ファウラーがこの17番奥からのアプローチを見事に寄せ、テレビ解説の中嶋常幸プロが「自分は100回に1回しか寄らない」と言っていた。練習日にこの写真を撮って17番の奥に行ったら絶対に寄らないと思っていた筆者にとっても、リッキーのアプローチはまさに神業だった。

17番ホールのグリーン奥から撮影
17番ホールのグリーン奥から撮影

驚きのグリーンアンジュレーション!14番はまるで刈り込んだグラスバンカー

最初にオーガスタナショナルゴルフクラブに来た時、最も驚いたのはグリーンのアンジュレーションだった。

写真は14番ホールグリーン。まるで刈り込んだグラスバンカーのようだ。ガラスのようだと称されるグリーンは、その速さだけでなく、大きく複雑なアンジュレーションでも選手たちを苦しめる。

また、ピンポジションによっては絶対に乗せてはいけないエリアが数多くある。テレビなどであえてピンを狙わないショットを打つシーンを数多く見かけるが、現地に行くとグリーンの難しさがその理由になっていることがよく分かる。

14番ホールのグリーン
14番ホールのグリーン

樹木が選手がショットを打つ際のプレッシャーになる

写真は18番ホールのティーグラウンド後方からのもの。両サイドの高い松の木がフェアウェイ方向にせり出していて、ショットを打つ選手にプレッシャーを与えている。

打ち出し方向や高さにも影響を与えるので、本当に繊細なショットが要求されているホールだということがよく分かる。

18番ホールのティーグラウンドから撮影
18番ホールのティーグラウンドから撮影

(おまけ)どんな天候でも高速グリーンを維持する秘密

オーガスタナショナルゴルフクラブにきて、もう一つ驚くことがある。

それは水はけの良さ。筆者が訪れた昨年(2019年)火曜日の午前、パトロンを会場から一時撤退させるほどの大雨が降った。午後に天候が回復し、選手の練習ラウンドは再開されたが、驚くべきは大量の雨が降ったにもかかわらずグリーンの速さがキープされていたことだ。

その秘密はグリーン近くで、ゴーゴーと音を立てていたマンホールのようなものの下にあった。本当に「なんだこれ?」と思うほど音をたてているので、会場にいったことのある方なら気になっている方も少なくないと思う。

後で雑誌の記事を見て分かったことだが、「Sub Air System」という設備があるそうだ。グリーンの下には無数のパイプが通っており、大雨が降るとセンサーでモーターが作動しパイプを真空状態にすることで雨水を素早く下水パイプに逃すのだそうだ。逆に気温が上がって乾燥してくると、パイプに水を送り込み芝生や土に水を行き渡らせる。この最新鋭の設備により、どんな天候でも均一な状態を維持している。

グリーン近くにあるゴーゴーと音を立てていたマンホールのようなもの
グリーン近くにあるゴーゴーと音を立てていたマンホールのようなもの