海外出張の際には、できる限りゴルフバッグを持参するようにしている。なかなか海外でプレーをする機会がないし、何よりも海外のプレーでは必ず新たな発見があるからだ。
今回は全英オープンの取材などで何度か訪れた英国のゴルフ場をプレーした際に思ったことについて書きたいと思う。
目次
●当日予約は当たり前!気軽にプレーできる英国のゴルフ場
●著名コースではないが、素晴らしいコースだったヘスウォールゴルフクラブ
●コース内には一般人が通る遊歩道。コースに隣接して近所の方々が楽しむ公園も!
●セントアンドルーズも市民とプレーヤーが共存
●外国人ビジターを気持ち良く迎え入れてくれるメンバー
当日予約は当たり前!気軽にプレーできる英国のゴルフ場
以前のブログでも書いたが、あのセントアンドルーズでも当日にふらっといってラウンドができるのが英国のゴルフプレーの何よりの魅力。英国出張の際には必ず仕事フリーの日を設けてプレーをしているが、日本のように予約をしたことはほとんどない。
2017年7月、取材で訪れていたのはイングランドのロイヤルバークデール。開催されていた全英オープンはジョーダン・スピースの優勝で幕を閉じた。その翌日の月曜日は絶好のゴルフ日和。旧知の記者仲間とプレーを楽しんだ。
「僕の方で良いゴルフ場を見つけてきますので待っていてください」。一足早く日本に帰国するカメラマンさんを空港まで送らなくてはいけないとうこともあり、長い付き合いの記者仲間は早朝に出て行った。
その間、筆者はホテルでゆっくりとブレックファースト。英国ならではの豪華な朝食を楽しんだ。
10時頃、「ゴルフ場が決まりました!」とメッセンジャーで連絡が入った。早速ホテルをチェックアウトし、ダッシュボードにおいたスマホのグーグルマップの指示どおりゴルフ場までドライブした。
ゴルフ場に到着するとトラブルが発生した。車の窓が閉まらないのだ。スーツケースなど荷物を車に置いておかなくてはならないので、窓を開けたままにしておくわけにはいかない。
英国のゴルフ関係の人々はみんな親切だ。この日も自分では解決策が見出だせなかったので、ゴルフ場の方に相談。結局ある操作を筆者が忘れていたことが発覚し無事に窓は閉まってくれた。
メンバーの一人が早めにホールアウトをしなくてはならない事情もあり、一緒にラウンドする記者仲間には先にスタートをしてもらっていた。「一人ならすぐに追いつくでしょ」ということで、途中から合流するのではなく、筆者も1番ホールからスタート。スタートホールでは1組待っていたが、事情を説明して先にプレーをさせてもらった。そして3ホール目、無事に記者仲間たちに合流できた。
予約からスタートまで日本では考えられない調子でこの日のゴルフは始まった。このアバウトな感じも英国ゴルフならではの魅力だ。
著名コースではないが、素晴らしいコースだったヘスウォールゴルフクラブ
ラウンドしたヘスウォールゴルフクラブ(Heswall Golf Club)は、景色が素晴らしいコースだった。クラブハウスは一番高いところにあり、レストランのテラス席からはコース全体とその先にある海が見渡すことができた。
ラウンド中も度々美しい景色に遭遇。コースコンディションもよく、素晴らしいラウンドが楽しめた。
場所はイングランドのリバプールの街から車で15分くらいのところにあり、全英オープン開催コースのロイヤルリバプールゴルフクラブからも10分くらいのところにある。
ちなみにプレーフィーは平日で70ポンド(4月〜10月)。貸しクラブがあり、手引きカートもレンタルできる。この辺りにいくことがあれば、是非ラウンド候補の1つに加えても良いかもしれない。
コース内には一般人が通る遊歩道。コースに隣接して近所の方々が楽しむ公園も!
ラウンド中、ふとコースの外側をみると、ベンチに腰掛けながら談笑している人やサイクリングを楽しむ地元の人々が目に付いた。日本だとゴルフ場と外の世界とは完全に遮断されているが、ここはゴルフ場の境があいまいだった。
そして、ラウンドを進めていくと今度はコース内で犬の散歩をしている人と遭遇。正確にはコースを横切って設置された道を通行している地元の人だった。
日本だったらゴルフ場内でプレーヤー以外の方が歩いていたりしたら大問題になりそうだが、ここではプレーヤーと一般市民が共存していた。
さらにラウンドを進めていくと、ホールとホールの間に車も通れそうな広さの道路があった。これは一般の人々が利用する通行路のようだった。さらに看板があり「Horseride」の文字も。残念ながら馬とは出会えなかったが、ゴルフ場内で乗馬を楽しんできる方々もいるのだろう。
欧米のクラブでは会員がその場所でゴルフだけでなく乗馬やテニスなども楽んでいるという話を聞く。また、大昔のゴルファーが着ている服としてお馴染みのニッカポッカは、乗馬の際にも着用されている。2016年にオープンした東京クラシッククラブは真のカントリークラブを目指すにあたって馬主クラブをゴルフ場オープンと同時にスタートして話題になったが、英国での乗馬とゴルフの共存関係は当たり前のことのようだ。
セントアンドルーズも市民とプレーヤーが共存
市民がゴルフ場の中で闊歩しているのは英国では当たり前の光景だ。あのセントアンドルーズでも、市民がコース内の道路を横切るのを待ってからショットをすることが当たり前。オールドコースの1番ホールと18番ホールの真ん中にも道路があり人や車が通る。
オールドコースも市民のためのコースでもあるのだ。
また、世界的に有名なオールドコースの18番ホールにあるスウィルカンブリッジで日中記念撮影をしている観光客を見かける。日本だとプレーヤー以外の人がコース内に侵入することはご法度だが、セントアンドリュースに限らず英国ではおおらかに迎えてくれる印象だ。
外国人ビジターを気持ち良く迎え入れてくれるメンバー
ヘスウォールゴルフクラブでのラウンドの話に戻ろう。最終の18番ホールでは、グリーンサイドのバンカーに入れてしまった。
そこからのリカバリーショットは我ながら大成功。するとクラブハウスの方から大きい拍手が聞こえてきた。テラス席で午後の西日を浴びながらワイングラスを傾けているこのコースのメンバーらしきグループだった。
このコースだけでなく、英国のゴルフ場ではメンバーの方々が我々海外のゴルファーにも気軽に接してくれる。ビジターも気持ち良く迎えようというゴルフ文化も、英国でプレーをする魅力の一つだ。
更新情報
2020年8月15日更新