いつまでも続く坂道。100年以上も前、神戸の中心地からどのようにここに来たのだろうか?
新神戸駅から車で40分以上、くねくね道を登り続け、やっと辿り着いた。
神戸ゴルフ倶楽部への道案内看板。この後、とても狭い道を通りゴルフ場の駐車場に到着した
目次
●日本最古のゴルフ場はどこまでも素朴
●ゴルフ場の方々は皆親切。10本のクラブ選びも無事終了
●「101」と書かれた謎の大きな石を発見。ゴルフ場全体が博物館のよう
●記念に神戸ゴルフ倶楽部の全ホールを撮影したが、、、
●ゴルフは自然との戦いと再認識
●ここでプレーしている方々はいつまでも元気
●食堂のカレーは辛くないものを提供!?
●「DUMPIE」というスコッチが気になる!!
日本最古のゴルフ場はどこまでも素朴
「神戸ゴルフ倶楽部に行こう!」と思ったのがかれこれ17年前。
アルバ編集部にいた頃の2001年、ゴルフ100年の企画に携わり日本で最も古いこのゴルフ場について調べてからだ。
その後僕は、マーケティング会社を経てGDOに転職。そして独立を果たす。父親としては2人の子供に恵まれるなど、この17年で生活は大きく変わった。
しかし、神戸ゴルフ倶楽部の正門前に立つと、きっと17年前も同じような景色だったのではないかと思わせる素朴さ。
いや、50年前、100年前もそんなに変わってなかったのかもしれない。そんなことを思いながら受付でサインした。
ゴルフ場の方々は皆親切。10本のクラブ選びも無事終了
クラブハウスに入るとすべてのものが、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
チャンピオンボードなどはもちろん、スコアカード入れ一つにしてもこの倶楽部ならではのこだわりを感じさせてくれた。
そして、ゴルフ場のスタッフの方々は皆親切。
プレーするにあたってキャディさんの負担を軽減するために10本のクラブを選ばなくてはならないのだが、ゴルフ場の方が丁寧にアドバイスをしてくれた。
パター、6I、8I、9I、PW、PS、SWの7本はマストと考え、ドライバー、3W、UT(19度)、UT(24度)のうちどれか1本を抜かなくてはと悩んでいたのだが、結局、170〜200ヤードくらいの距離が多いとのことでドライバーは抜きスプーンとUT2本を持っていくことに。
300ヤードを超えるミドルホールが3ホールあったが、実際にラウンドするとドライバーで距離を稼いだ方が良いホールは1ホールしかなかったので、ゴルフ場の方のアドバイスは適切だった。
「101」と書かれた謎の大きな石を発見。ゴルフ場全体が博物館のよう
霧の影響でスタートが遅れ時間があったので、クラブハウスのまわりを散歩。
すると「101」と書いた大きな石があった。
後でレストランの方に聞いてみると、神戸ゴルフ倶楽部をつくったアーサー・ヘスケス・グルームさんが神戸の六甲に住んでいた時の住所を示すものらしいとのことだった。
この石はその後、グルームさんの別荘に運んだそうだが、亡くなった後にゴルフ場に持ってきたとのことだった。
その後読んだ『日本のゴルフ史(西村貫一著)』によると、1895年(明治28年)6月、グルームさんは六甲で最初の住宅を建築。付近の人はこの六甲の最初の家を百一と呼んでおり、理由はグルームさんの居留地の番號が101番だったからだそうで、この石は101番の番號を示すもののようだ。
記念に神戸ゴルフ倶楽部の全ホールを撮影したが、、、
神奈川県在住でしかもメンバーでないとなかなかラウンドできない神戸ゴルフ倶楽部には、次はいつ来ることができるか分からない。
いや、他にも回りたいゴルフ場は日本だけでも100以上あるのでもしかしたら生涯最後かもしれないという思いもあり、この日本最古のゴルフ場を記憶だけでなく記録にも留めるため、今回は全ホールで写真を撮影した。
是非、ご覧いただきたい。
え、全部一緒!そうなのだ。当日は深い霧で、視界は20〜30ヤード程度。
いつか霧は止むだろうと思っていたが、結局最後まで同じ状況。
途中、キャディさんや同伴者が視界から消えた時(とはいっても30ヤードくらいしか離れていないのだが)、本当に遭難するのではないかと何度も思った(苦笑)。
ゴルフは自然との戦いと再認識
「さすがに今日は他の方はキャンセルですか?」
と聞くと、そんなことはないという。
特にメンバーさんはコースを記憶しているので霧でもほぼ問題なくラウンドするそうだ。
普通のゴルフ場だったらこの霧だとプレーしないと思うが、神戸ゴルフ倶楽部のメンバーさんはどんな自然でも受け入れてゴルフをしているということか!?
それこそ100年以上前、今のように交通事情も良くない中、山の上まで登ってきて、雨だろうと霧だろうとその自然を受け入れこの地でゴルフを楽しむという歴史を繰り返していることに感銘を受けた。
良いプレーができないと、「強風が吹いて今日はダメだった」とか、「ライが悪いことが多くて」などと言ってしまいがちだが、どんな状況でも自然を受け入れて戦うことこそがゴルフの楽しみかもしれないと改めて思った。
しかし、人間の適応能力とはすごいものだ。
前は20メートルしかみえなくても、後半はパーオンが増え、9ホールのうちパーが3つ。
さりげなく自慢してしまったが(笑)ただ、やはり曲げると深いラフの影響もありロストも4回(泣)。
18ホール終えた時には今までのゴルフでは味わったことのない達成感に満たされていた。
ここでプレーしている方々はいつまでも元気
お風呂に入ってすっきりし、またクラブハウス内をウロウロしていると宮本留吉さんの言葉が。
「人の世は山坂多い旅の道」
と書かれていて、年齢ごとの心得が書かれている。中身は写真を読んでいただければと思うが皇寿(111歳)で「そろそろ譲ろか日本一」とあるなど意気軒昂。
厳しい神戸ゴルフ倶楽部をラウンドしていれば、確かに元気になれるだろうと感じていた。
食堂のカレーは辛くないものを提供!?
最後に食堂を紹介!1901年からの写真などゴルフ好きにはたまらない資料が飾られており、ラウンド途中のランチ時だけでなくホールアウト後も、カフェオレを飲みながらゆっくりさせてもらった。
食堂のスタッフの方も親切で、最初に書いた101と書かれた石の情報など様々な話をしてくださった。
どうしても名門や歴史のあるコースは堅苦しいイメージがあるが、今までの僕の経験では名門や歴史のあるコースの方がビジターに親切で、神戸ゴルフ倶楽部はその中でも最上級のホスピタリティだった。
なお、ここのカレーは辛くないようにしているとのこと。理由はラウンド途中にトイレがないのでお腹が痛くならないようにする配慮だそうだ。
本当に様々な細かいことまで考えているゴルフ場だった。
「DUMPIE」というスコッチが気になる!!
帰ってからゴルフ場で撮影した写真を整理していると、食堂に飾られていたものの中に、グルームさんとスコッチウィスキーが写っているものを発見。
横には、「グルームと愛飲のDUMPIE グルームはこのスコッチウィスキーが好きで1番ホールでホールインワンをした人に1ダースを贈った(DUMPIEは銘柄ではなく愛称)」と書かれていた。
そのような歴史があるからか、今でも1番ホールには「DUMPIE」という愛称がついている。
この「DUMPIE」というスコッチウィスキーは今でも手に入るものなのかなどを調べたが、なかなか有力の情報が得られず。
今度、神戸ゴルフ倶楽部に行った時には是非ゴルフ場の方などに聞いてみたいと思うが、有力な情報を持っている方がいたら是非こちらまで情報をお願いします!
(後日談)
いろいろと調べてみると「DUMPIE」という銘柄は実際には存在していなかったという説が主流。なお、神戸ゴルフ倶楽部の100周年を記念して、サントリーが復刻版ボトルをつくって会員に配ったそうだ。
更新情報
2020年6月13日更新